『いい人がいない』という訴えの多くは、相談所の問題ではない
結婚相談所での活動を開始して2〜3ヶ月経つと、『紹介されている人の中にいい人がいない』という相談が増えます。これは多くの相談所が経験する最も一般的な相談です。しかし、実態を調査すると、その原因の大多数は『相談所の問題』ではなく、『申し込み者自身の期待値設定や条件の不適切さ』です。
この違いを理解することが、問題解決の第一歩です。相談所の職員も仲人も、『いい人がいない』という訴えを受けると、『うちのデータベースが小さいのかな』と考えてしまいがちです。しかし、データを詳しく分析すると、以下のパターンが浮かび上がるのです。
**パターン1:『いい人の定義が曖昧である』**
申し込み者は『いい人』として何を求めているのか、実は明確に定義できていません。『人当たりが良い』『安定性がある』『知的』『経済的に余裕がある』など、様々な属性を漠然と求めており、その全てを備えた相手を探しているのです。
実際の人間には欠点があります。経済的に恵まれた男性は、往々にして自尊心が高く、女性に対して横柄な態度を取ることもあります。容姿が優れた人は、必ずしも人格が優れていません。『全ての点で優れた人』は存在しないのです。
**パターン2:『条件設定が現実と乖離している』**
自分自身の市場価値を過信し、不適切な相手条件を設定している人が多いです。例えば、『年収300万円の女性が、相手には年収1000万円を希望する』『容姿が平均的な女性が、相手には『上位10%のイケメン』を希望する』といった、現実性の低い条件設定をしている人が多いのです。
こうした条件で紹介を受けるのは、ほぼ不可能です。データベースには確かに年収1000万円の男性も、イケメンも存在しますが、そうした人気の高い人物は、多くの女性からアプローチを受けており、条件が低い女性を選ぶ可能性は極めて低いのです。
**パターン3:『出会いの多さに対する誤った期待』**
『相談所に登録すれば、毎週のように素敵な相手と出会える』という期待を持つ人がいます。しかし、実際には『マッチング』『相手の承諾』『自分の判断』という複数のステップを経ており、毎週必ず誰かと会えるわけではないのです。
こうした誤った期待から『紹介が少ない』『いい人がいない』という愚痴が生まれます。
まずは、『いい人がいない』という感覚の原因が、相談所の問題ではなく、自分自身の期待値設定や条件設定にあるのではないか、という視点を持つことが重要です。
原因分析——なぜいい人に出会えないのか
『いい人がいない』という状況を打破するには、まずその原因を正確に特定する必要があります。以下の5つの原因が、最も一般的です。
**原因1:相手に求める条件が現実と乖離している**
自分の市場価値を正確に認識せず、不適切な相手条件を設定している場合が最も多いです。年収、身長、学歴、容姿など、複数の条件で『高い水準』を求めると、マッチング可能性が指数関数的に下がります。
例えば、相手に『年収700万円以上、身長180cm以上、大卒以上』という条件を課した場合、そうした条件を備える男性は統計的に全体の1%程度です。全国で1000人いるかいないかのレベルです。こうした相手が『自分を選んでくれる確率』はほぼゼロに近いのです。
**原因2:自分の『相手に求める理由』が不明確**
『なぜそうした条件を求めるのか』という理由が不明確な場合が多いです。例えば、『年収1000万円』と言っても、その理由が『経済的な不安がない人がいい』なら、年収700万円でも十分です。『社会的地位がある人がいい』なら、医者や弁護士などの職業で限定する方が効率的です。
『なぜ』を問い直すことで、現実的な条件設定が可能になります。
**原因3:相談所(仲人)との認識がずれている**
申し込み者は『いい人を見つけてくれるはず』と相談所に期待しますが、相談所は『条件に合う相手を紹介する』という機能を持つに過ぎません。『条件と主観的な好みのギャップ』を埋めるのは、申し込み者自身の判断なのです。
また、仲人も『全ての人の好みを理解している』わけではなく、申し込み者からの『具体的なリクエスト』があって初めて、適切な紹介が可能になるのです。
**原因4:データベースが単純に小さい**
これは『相談所の問題』です。小さな地元の相談所では、データベースサイズが小さく、選択肢が限定されることは確かです。特に地方に住んでいる場合、全国規模の大手連盟に加盟している相談所を選ぶことで、データベースサイズを大幅に拡大できます。
**原因5:活動期間が短すぎる**
活動開始から1ヶ月で『いい人がいない』と判断するのは、早すぎます。相談所に登録してから、仲人があなたを理解し、適切な紹介を開始するまでに、1ヶ月程度かかるのが普通です。最低でも3ヶ月は活動を続けてから、『本当にいい人がいないのか』を判断すべきです。
これら5つの原因の中で、自分に当てはまるものが何かを特定することが、問題解決の第一歩となります。
対処法1:条件の見直し——『譲れない条件』の厳選
最も実効的な対処法は、相手に求める条件を現実的に見直すことです。これは『妥協する』のではなく、『現実的な判断をする』ということです。
**段階別の条件整理**
まず、相手に求める条件を3段階に分類してください。
『絶対に譲れない条件』(これがないと結婚できない)
『希望する条件』(あれば嬉しいが、なくても良い)
『あったら良い条件』(付加価値)
例えば、多くの女性が『安定性がある』『人格的に誠実』という『絶対に譲れない条件』を持ちます。これは妥協してはいけません。一方、『年収1000万円』『身長180cm以上』といった条件は『希望する条件』レベルです。この部分を柔軟に見直すことが、出会いのチャンスを大きく広げるのです。
**具体的な見直しの例**
見直し前:『年収700万円以上、身長180cm以上、大卒以上、容姿が整っている、優しい、知識が豊富』
→ マッチング可能性:ほぼゼロ
見直し後:『安定した職業(年収500万円以上で十分)、身長は170cm以上、誠実な人格、思いやりがある』
→ マッチング可能性:20〜30%
見直しの際の工夫:
– 『以上』『以下』という厳密な条件より、『程度』という柔軟な表現を使う
– 複数の条件で『上位レベル』を求めない(1〜2つに絞る)
– 『相手がこの条件を備えるのは、統計的に何%の人か』を考える
**条件見直しのタイミング**
活動開始から1ヶ月で、仲人と一緒に『現在の条件設定で、マッチング可能性は何%か』を推定し、3ヶ月時点で『実際のマッチング状況』を踏まえて見直すことが理想的です。
『条件を見直す』ことは『妥協』ではなく、『市場の現実を踏まえた合理的な判断』です。この見直しだけで、紹介数が2〜3倍に増えることもあります。
対処法2:複数の連盟への登録——データベースサイズの拡大
条件の見直しをしても『それでも人数が少ない』という場合、連盟のデータベースサイズが問題の可能性があります。複数の連盟への登録は、選択肢を大幅に拡大するための効果的な方法です。
**主要連盟とデータベースサイズ**
IBJ(日本結婚相談協会):約6万5千名
コネクトシップ:約4万名
ツヴァイ:約2万名
全国結婚相談業協会(TMS):約3万5千名
IBJに登録している相談所に入会すれば、IBJのデータベース全体にアクセスできます。ただし、複数の連盟に登録している人も多いため、『複数の連盟に登録=単純にデータベースが2倍になる』わけではありません。
**複数連盟登録のメリット**
1. データベースサイズが拡大し、選択肢が増える
2. 異なる連盟に加盟する相談所のネットワークにアクセスできる
3. 紹介のバリエーションが増え、より多くの異なるタイプの相手に出会える
**複数連盟登録の注意点**
各連盟への登録費用が別途かかります。IBJなら入会金5万円程度、コネクトシップなら別途登録料がかかる場合が多いです。
また、同一人物が複数の連盟に登録されることになるため、『同じ相手に複数の連盟経由でアプローチされる』という非効率が生じる可能性があります。相談所選びの際に、『複数連盟への登録をサポートしているか』を確認することが重要です。
**推奨される複数連盟戦略**
まずはIBJに加盟する大手相談所(ネットサービス、パートナー、良い結婚相談所など)に入会し、3ヶ月試してみます。それでも『いい人がいない』と感じた場合、コネクトシップにも登録することで、選択肢を拡大します。このアプローチであれば、費用を最小限に抑えながら、選択肢を大幅に拡大できます。
対処法3:仲人への相談——『具体的なリクエスト』の伝達
仲人に『いい人がいない』とだけ伝えても、問題は解決しません。重要なのは『具体的なリクエスト』です。
**悪い相談の例**
『紹介されている人の中にいい人がいません』
『もっと素敵な人を紹介してください』
『今までの紹介は合いませんでした』
こうした曖昧な訴えでは、仲人も『何をどう改善すべき』か判断できません。
**良い相談の例**
『仕事の関係で、ビジネスの知識がある人と会いたいのですが』
『子どもを望まないパートナーを探しています。そうした条件の女性を重点的に探していただけますか』
『これまで営業職の方とばかり会いましたが、もっと学術的な分野の方と会ってみたいです』
『年齢が近い(32歳前後)の女性を希望していますが、引き続きその条件で探していただけますか』
**仲人との面談を効果的にするコツ**
1. 『これまでに会った人の中で、どのような点が合わなかったか』を具体的に説明する
2. 『相手の職業は』『趣味は』『生活スタイルは』など、属性ではなく『生活の質感』を説明する
3. 『このような仕事をしている人』『このような価値観を持っている人』など、仲人がイメージしやすい説明をする
こうした『具体的なリクエスト』があれば、仲人はあなたに合った相手を『主体的に探す』ことができるようになります。仲人は『あなたの好みのパターンマッチング専門家』です。あなた自身が『自分の好みを正確に説明する』ことが、良い紹介につながるのです。
対処法4と5:相談所の変更とタイミングの判断
条件を見直し、複数連盟に登録し、仲人に具体的なリクエストをしても『いい人がいない』という状況が続く場合、相談所の変更を検討する価値があります。
**相談所変更のタイミング**
の目安は『6ヶ月の活動期間』です。相談所に入会して1ヶ月は『初期段階』、その後2〜5ヶ月は『本格的な活動期間』と位置づけるべきです。6ヶ月経ってもなお『いい人がいない』と感じるなら、その相談所がデータベースサイズで劣っているか、仲人との相性が悪い可能性があります。
**相談所変更前に確認すべき事項**
1. 『自分の条件設定は現実的か』を仲人と一緒に再検討
2. 『複数連盟に登録しているか』の確認
3. 『活動量は十分か』(月3回以上のお見合い)の確認
これら全てが実施されていても『いい人がいない』なら、相談所変更を検討する価値があります。
**相談所変更の具体的な方法**
1. 『大手連盟に加盟している別の相談所』への移籍を検討
2. 複数連盟への同時登録をサポートしている相談所への変更
3. 地域によっては『全国規模の相談所』への登録
ただし、相談所を変更する際に注意が必要です。新しい相談所でも『最初の1ヶ月は期間がかかる』という事実に直面することになります。
**『いい人がいない』という感覚の本質**
最終的には、『いい人がいない』という状況の大部分は『相談所の問題』ではなく『自分自身の期待値設定の問題』です。この本質を受け入れ、自分の『相手に求める理由』を問い直し、条件を現実的に見直すことが、最も効果的な対処法なのです。
相談所を変更する前に、自分自身の『期待値』と『現実』のギャップを埋めることが、成功への近道となります。