公開:2026-09-01
更新:2026-09-01
結婚相談所の会員アンケート・NPS運用——満足度を数字で測り、改善サイクルに変える
会員満足度を「なんとなくの手応え」で判断している限り、サービスは改善できません。どのタイミングで何問聞くか、NPSをどう計算しどの水準を目安とするか、退会者から本音を引き出すにはどう尋ねるか。そして集めたスコアを放置せず改善アクションに落とし、結果を口コミやお客様の声に二次利用するための同意取得まで。測定から改善までを一周させる実務を、設問例と運用サイクルつきで整理しました。
この記事の要点
- 満足度は入会1ヶ月・6ヶ月・成婚時・退会時の4点で測るだけで、改善に必要な情報はほぼ揃う
- NPSは推奨者の割合から批判者の割合を引いた値。結婚相談所ではプラス20以上が一つの目安になる
- 退会者アンケートは「なぜ辞めるか」ではなく「いつ迷い始めたか」を聞くと本音が出る
- 集めたスコアは月1回・30分の振り返りで1つだけ改善項目を決める。分析の精度より回すことが重要
「満足してもらえている手応え」は、退会数の前では役に立たない
会員満足度について尋ねると、多くのオーナーが「特に不満は聞いていない」と答えます。
これは正しい観測ではありません。不満を持った会員は、不満を言わずに辞めるからです。
退会に至る会員の典型的な経路
・活動が思うように進まない時期が続く
・面談で「大丈夫です」と答え続ける
・連絡の返信が少しずつ遅くなる
・ある日、退会の申し出だけが届く
この経路のどこにも、明示的な不満の表明はありません。担当者から見れば「急に辞めた」ように見えますが、会員の中では数ヶ月前から進行しています。
なぜ不満は表明されないのか
第一に、担当者との関係を壊したくないから。婚活の相談は極めて私的な内容を含むため、会員は担当者に対して率直な批判をしにくい立場にあります。
第二に、自分の努力不足だと思っているから。成果が出ないことをサービスのせいだと考える人は、実は少数です。
第三に、言っても変わらないと思っているから。過去に一度伝えて何も変わらなかった経験があると、二度目はありません。
つまり、待っていても不満の情報は入ってきません。こちらから、答えやすい形で、定期的に聞きにいく必要があります。
測定と施策は別物
退会を防ぐ施策そのものは 退会を防ぐ5つの施策 にまとめています。本記事が扱うのは、その施策が効いているかどうかを測る仕組みです。
施策だけあって測定がないと、何が効いたのかがわからないまま改善が止まります。逆に測定だけあって改善がないと、スコアを眺めるだけの作業になります。測定と改善は必ずセットで設計してください。
退会率そのものをKPIとして追う方法は 退会率データ分析、経営指標全体の可視化は KPIダッシュボード構築ガイド を参照してください。
「不満は聞いていません」と言っていた頃の自分に教えてあげたいのですが、それは不満がないという意味ではなくて、単に言ってもらえていないという意味でした。退会理由の欄に「一身上の都合」と書かれるたびに、何かを見落としたんだろうなと思っていました。
測定点は4つでいい——いつ聞くかの設計
アンケートは、頻度を上げれば精度が上がるものではありません。むしろ回数が増えるほど回答率が落ち、形骸化します。
測定点1:入会1ヶ月後
聞くのは「立ち上がりの手応え」です。オンボーディングが機能しているかを確認します。
・活動の進め方は理解できているか
・サポートの量は想定どおりか
・不安に感じていることはあるか
この時点で低いスコアが出た会員は、6ヶ月以内退会の確率が高いため、即座に個別対応します。入会後の立ち上げ設計そのものは 入会後90日オンボーディング設計 にまとめています。
測定点2:入会6ヶ月後
サービスへの評価が固まる時期です。ここで測るのは、活動の成果ではなくサポートへの評価です。
・面談の頻度と内容
・連絡へのレスポンス
・提案されるお相手の妥当性
・この相談所を他人に勧めるか(NPS設問)
測定点3:成婚退会時
最も回答率が高く(80%以上)、最も前向きな回答が集まる時点です。
・活動を通じて役に立ったサポート
・改善してほしかった点
・体験談の掲載可否(別途の同意として)
成婚時のアンケートは、そのまま集客資産になります。ただし掲載には別の手続きが必要です(後述)。
測定点4:途中退会時
最も価値が高く、最も回答率が低い(15〜30%)測定点です。設計を工夫しないと、まともな情報が取れません。詳しくは次節で扱います。
設問数の上限
各回5〜7問まで。これを超えると回答率が明確に落ちます。構成は次のとおりです。
・10段階の推奨度(NPS):1問
・満足度スコア(面談・提案・連絡など):3〜4問
・自由記述:1〜2問
自由記述は必ず入れてください。スコアだけでは「何を直せばよいか」がわかりません。逆に3問以上入れると記入負担が重くなり、未回答が増えます。
設問は固定する
一度決めた設問は変えないこと。設問を変えると、過去のスコアと比較できなくなります。改善したくなっても、最低1年は同じ設問で回してください。
回答形式と回答率
・面談の場でその場で回答:80〜95%
・面談後にその場でQRコードから入力:60〜80%
・メール・LINEで送って自己回答:25〜45%
回答率を上げたいなら、面談の最後の5分を使うのが最も確実です。
測定点を増やしたくなる気持ちはわかりますが、毎月アンケートが来る相談所を想像してみてください。会員からすると、そのうち開かなくなります。4点に絞って、その4点だけは必ず取り切るほうが、結果的に多くの情報が集まります。
NPSの計算と、結婚相談所での目安水準
NPSとは何か
「この相談所を、親しい友人や同僚に勧める可能性はどのくらいですか」という質問に、0〜10の11段階で回答してもらいます。
・9〜10:推奨者
・7〜8:中立者
・0〜6:批判者
NPS = 推奨者の割合(%) − 批判者の割合(%)
中立者は計算に入りません。スコアの範囲はマイナス100からプラス100です。
計算例
回答者20名のうち、9〜10が8名、7〜8が7名、0〜6が5名だった場合。
・推奨者:8 ÷ 20 = 40%
・批判者:5 ÷ 20 = 25%
・NPS = 40 − 25 = プラス15
結婚相談所での目安レンジ
・活動中の会員(入会6ヶ月時点):プラス10〜30
・成婚退会者:プラス40〜70
・途中退会者:マイナス20〜プラス10
活動中の会員でプラス20以上あれば、健全な水準と考えてよいでしょう。
なぜ活動中のスコアは低めに出るのか
婚活はプロセスの途中に必ず「うまくいっていない時期」があります。その時期に聞けば、サービス品質とは無関係に低いスコアが出ます。NPSはサービス評価と活動状況が混ざった数字である、という前提を持っておいてください。
だからこそ、絶対値ではなく推移で見るのが実用的です。
母数が小さい相談所での扱い
在籍40名の相談所で回答者が15名の場合、1人の回答でNPSは6〜7ポイント動きます。月次で追っても意味がありません。
・在籍60名以上:四半期単位で見る
・在籍30〜60名:半年単位で見る
・在籍30名未満:数値は参考程度にし、個別の低スコアに対応する
小規模だからこそできる使い方
母数が小さい相談所では、NPSを「平均を出す道具」ではなく「危険信号を拾う道具」として使うのが正解です。
0〜6をつけた会員が誰かを特定し、その週のうちに面談を設定する。これは大手には運用上できないことで、小規模相談所の明確な強みです。
あわせて見るべき指標
NPS単体では方向性しか見えません。次の指標と並べてください。
・6ヶ月継続率(入会コホート別)
・お見合い成立数の中央値
・面談の実施間隔
・連絡へのレスポンス時間
スコアが下がったとき、原因はたいていこの4つのどれかに出ています。KPIの選び方は KPI設計 を参照してください。
NPSを初めて出したとき、思ったより低くて落ち込みました。でも内訳を見たら、低い点をつけたのは全員「活動が停滞している最中の方」だったんです。サービスが悪いのではなく、その時期の人の気持ちが出ていただけでした。数字は、見方を間違えると自分を殴る道具になります。
退会者アンケートで本音を引き出す聞き方
途中退会者からの回答は、最も価値があり、最も取りにくい情報です。
「なぜ退会するのですか」では本音は出ない
この聞き方に対する典型的な回答は次のとおりです。
・「都合により」
・「他のことに集中したいので」
・「一身上の都合です」
これらはすべて、答えたくないという意思表示です。責めているわけでも、隠しているわけでもなく、単に気まずいだけです。
本音が出る3つの聞き方
第一に、時点を聞く。
「いつ頃から迷い始めましたか」
理由を聞かれると人は防御しますが、時点を聞かれると記憶を辿ります。そして時点を思い出すと、そのときの出来事が自然に出てきます。「3月にお見合いが2回続けて断られたあたりから」といった具体的な回答が返ってきます。
第二に、変更点として聞く。
「もし1つだけ変えられるとしたら、何を変えてほしかったですか」
批判ではなく要望の形になるため、答えやすくなります。「不満」と聞かれると言えないことが、「要望」と聞かれると言えます。
第三に、担当者以外が聞く。
担当カウンセラーが直接聞くと、相手は気を遣います。可能なら別のスタッフが担当し、一人経営なら記名不要のWebフォームにします。
送るタイミング
退会手続きの当日ではなく、完了から1〜2週間後に送ります。手続き中は気まずさが先に立ち、当たり障りのない回答になります。少し時間が空くと、率直な回答が返ってきます。
回答率の目安と、それでも取る意味
・退会手続き時に対面で依頼:40〜60%
・完了後にメール・LINEで送付:15〜30%
15%でも取る価値があります。100名が退会した年なら15件の率直な意見が集まり、その中には必ず複数回登場する共通項があります。
退会理由の分類
集まった回答は、次の4分類で整理すると打ち手につながります。
・サービス起因(面談が少ない、提案が的外れ、レスポンスが遅い)→ 改善可能
・マッチング起因(希望に合う相手がいない、申込が通らない)→ 一部改善可能
・本人起因(多忙、転勤、経済事情、婚活自体の中断)→ 改善不可だが休会で対応可能
・費用起因(費用対効果が合わない)→ 料金設計か提供価値の問題
「本人起因」に分類される回答が7割を超える場合は、聞き方が機能していない可能性を疑ってください。本音が出ていれば、サービス起因は必ず一定数出ます。
休会という選択肢の提示
退会理由が本人起因なら、退会ではなく休会で関係を維持できるケースが多くあります。休眠状態からの復帰については 休眠会員の再活性化、退会者の再入会の設計は 退会者再入会戦略 を参照してください。
「いつ頃から迷い始めましたか」という聞き方は、本当に効きます。理由を聞かれると人は言い訳を用意しますが、時期を聞かれると事実を思い出します。そして事実の中に、こちらが直せることが入っています。
集めたスコアを改善に変える——月1回30分のループ
アンケートで最も多い失敗は、集めて終わることです。
回答は溜まっているが、誰も見返していない。この状態になると、会員は「答えても何も変わらない」と学習し、次回から回答しなくなります。
回すべき最小限のループ
月1回・30分で十分です。次の順番で進めます。
第一に、その月に集まった回答を全部読む。集計する前に、自由記述を読みます。数字より先に言葉を読むこと。
第二に、低スコアの回答者を特定し、個別対応を決める。誰にいつ連絡するかを、その場でカレンダーに入れます。
第三に、複数回登場した指摘を1つだけ選ぶ。2件以上から同じ指摘が出ていれば、それは偶然ではありません。
第四に、その1つに対する改善アクションを決める。今月中にできる具体的な行動に落とします。
第五に、先月決めた改善アクションの実施状況を確認する。ここを飛ばすと、決めるだけで終わります。
なぜ「1つだけ」なのか
改善項目を3つ以上決めると、どれも中途半端になります。月に1つでも、年間で12個の改善が積み上がります。一人経営の相談所にとって、これが現実的な最大値です。
改善アクションの例
自由記述から実際によく出る指摘と、対応する改善は次のようなものです。
・「連絡の返信が遅いことがあった」→ 返信の目安時間を明示し、営業時間外の自動応答を設定する
・「提案される相手が希望と違う」→ 面談で希望条件の優先順位を3つに絞り直す
・「次に何をすればいいかわからない時期があった」→ 面談の最後に必ず次の1アクションを決めて終わる
・「他の会員と比べて自分がどうなのかわからない」→ 活動量の目安を数値で共有する
どれも、システム投資も追加コストも不要です。
改善したことを会員に伝える
これが最も見落とされます。改善を実施したら、その旨を会員に伝えてください。
「いただいたご意見をもとに、面談の最後に次のアクションを一緒に決める形にしました」
この一言があるだけで、次回のアンケート回答率が明確に上がります。聞いて、変えて、伝える。この3つで一周です。
記録の残し方
改善の履歴は、スプレッドシート1枚で十分です。日付・指摘内容・件数・決めた改善・実施日の5列。これが溜まると、自社のサービス改善の履歴そのものになります。業務の標準化との接続は 業務マニュアル(SOP)の作り方 を参照してください。
「改善したことを会員に伝える」は、照れくさくて省きたくなる工程です。でもこれをやると、次から本当に具体的な意見が来るようになります。言えば変わる相手だと認識してもらえるかどうか、ということなんだと思います。
アンケート結果の二次利用——同意取得と表示の注意
成婚時のアンケートは、そのまま集客資産になります。ただし、集めることと使うことは別の手続きです。
掲載には個別同意が必要
アンケート回答時の一括同意では不十分です。掲載する文面と媒体を示したうえで、あらためて同意を取ってください。
同意時に確認する6項目
・掲載する媒体(自社サイト・SNS・チラシ・広告・比較サイト)
・掲載期間(無期限か、期限つきか)
・氏名の表示方法(実名・イニシャル・仮名・匿名)
・属性の表示範囲(年齢・職業・居住地域をどこまで出すか)
・写真の使用可否(使用する場合は別途の肖像権の同意)
・削除依頼の方法と連絡先
「退会後に消してほしい」と言われたときの手順を先に決めておくこと。後から慌てると、対応が遅れて信頼を損ないます。
表現上の注意
体験談の掲載には、表示に関する法令上の制約があります。
・実際の体験に基づかない内容を掲載しない
・特定の成果を強調して「必ず成婚できる」といった印象を与えない
・「成婚率No.1」等の表示は、根拠となる調査を示せない限り使わない
・謝礼や割引を提供して書いてもらった場合は、その事実の明示が必要になる場合がある
消費者向け表示の基準は {{https://www.caa.go.jp/|消費者庁}} の公表資料が出発点になります。表示規制全般の実務は 広告表現で注意すべきこと、体験談の集め方と守秘義務は お客様の声を集める方法 を参照してください。
個人情報としての取り扱い
アンケートの回答には、婚活の経緯、家族関係、経済状況など機微な情報が含まれます。保管場所・アクセス権限・保存期間・廃棄手順を、通常の会員データと同じ基準で管理してください。基準は 個人情報保護委員会 の考え方に沿って整理します(会員データの管理で守るべき5つのルール)。
Googleクチコミへの展開
高いスコアをつけた成婚会員には、Googleビジネスプロフィールへのクチコミ投稿を依頼できます。ただし、依頼の仕方と対価の有無には注意が必要です。実務の作法は 口コミ・レビュー対策、MEO全体の運用は Googleビジネスプロフィール攻略 を参照してください。
匿名化の実務
体験談を掲載する際、本人が特定されないように見えて、実は特定されるというケースが頻発します。
・「37歳・◯◯市在住・看護師・1年で成婚」
この程度の情報でも、地域が狭ければ本人が特定されます。年齢は「30代後半」、職業は「医療関係」、地域は県単位まで丸めるのが安全です。同意を取っていても、周囲に知られたくない会員は多数います。
匿名化のつもりが特定できてしまう、というのは本当によくあります。ご本人が「載せていいですよ」と言ってくださっていても、そのご本人が想定しているのは自分の職場の人が見る状況ではありません。丸めすぎかなと思うくらいがちょうどいいです。
よくある失敗パターン7つ
失敗1:設問が多すぎる
15問のアンケートは、回答率が一桁台になります。5〜7問が上限です。
失敗2:スコアだけ集めて自由記述がない
数字は「悪化した」ことは教えてくれますが、「何を直すか」は教えてくれません。自由記述が1問もないアンケートは、改善に使えません。
失敗3:担当カウンセラーが対面で退会理由を聞く
気まずさから、当たり障りのない回答しか返りません。別のスタッフか記名不要のフォームにしてください。
失敗4:集めて終わり
回答が溜まっているのに誰も見ていない。会員は「答えても変わらない」と学習し、次回から答えません。
失敗5:改善項目を一度に5つ決める
どれも実行されずに終わります。月に1つ。
失敗6:設問を毎回変える
改善したくなる気持ちはわかりますが、変えた瞬間に過去との比較ができなくなります。最低1年は固定してください。
失敗7:同意なく体験談を掲載する
アンケート回答時の一括同意では足りません。掲載の同意は、掲載時に個別に取るのが原則です。
7つに共通する構造
失敗1〜3は「取り方」、失敗4〜6は「使い方」、失敗7は「二次利用」の問題です。どれか一つでも欠けると、測定は形だけになります。
失敗4が一番多いです。アンケートを作るところまでは楽しいんですよね。集計して眺めるところまではやる。でも「では今月これを直します」まで行かない。ここを月1回30分だけ確保できるかどうかが、実質的な分かれ目です。
成功事例——NPSの低スコア個別対応で6ヶ月継続率を12ポイント上げた相談所E
関西の中核市で運営する相談所E(在籍会員54名・仲人1名+パート2名)の事例です。
導入前の状態
・満足度の測定:なし(面談での手応えのみ)
・入会後6ヶ月継続率:68%
・退会理由の記録:「一身上の都合」が全体の7割
・改善の起点:クレームが出たときのみ
「不満があれば言ってくれるはず」という前提で運営していた状態です。
導入した仕組み
第一に、測定点を4点(入会1ヶ月・6ヶ月・成婚時・退会時)に固定。
第二に、設問を6問に固定。NPS1問、満足度4問(面談・提案・レスポンス・情報提供)、自由記述1問。
第三に、入会1ヶ月と6ヶ月は面談の最後の5分でその場で回答してもらう運用に変更。回答率は91%。
第四に、退会者には完了から10日後に記名不要フォームを送付。回答率は24%。
第五に、毎月第1金曜の朝に30分、回答を読んで改善を1つ決める時間を固定。
運用の核心:低スコアへの個別対応
NPSで0〜6をつけた会員には、その週のうちに面談を設定するルールにしました。
・スコアの話は一切しない
・「最近の活動でうまくいっていないことはありますか」から入る
・障害を1つ特定し、その場で次のアクションを決める
平均スコアを追うのではなく、低スコアの個人に会いにいく運用です。
12ヶ月後の変化
・入会後6ヶ月継続率:68% → 80%(12ポイント改善)
・NPS(活動中会員・6ヶ月時点):初回プラス8 → プラス24
・退会理由「一身上の都合」の割合:7割 → 3割
・実施した改善:年間11件
実際に改善した項目(抜粋)
・営業時間外の自動応答を設定(「返信が遅い」の指摘が4件)
・面談の最後に次の1アクションを決めるルール化(「次に何をすればいいか不明」が5件)
・お見合い後のフィードバックを翌日までに送る運用に変更(3件)
・希望条件の優先順位を3つに絞る面談フォーマットの導入(「提案が希望と違う」が6件)
どれも追加コストはゼロで、必要だったのは「何を直すか」を知ることだけでした。
オーナーのコメント
「一番効いたのは、低い点をつけた人に会いにいくと決めたことでした」という評価でした。平均スコアの推移よりも、個別の危険信号に反応する運用が、在籍50名規模には合っていたということです。
再現するときの優先順位
第一に、入会1ヶ月と6ヶ月の面談の最後5分でアンケートを取る(回答率が最も高い)。
第二に、0〜6の回答者にはその週に面談を設定するルールを作る。
第三に、月1回30分、回答を読んで改善を1つ決める時間をカレンダーに固定する。
この3つだけで、測定から改善までのループは回り始めます。
「一身上の都合」が7割から3割になった、というのが一番説得力のある変化だと思います。理由が変わったのではなく、聞き方が変わっただけです。それまでも本当の理由はあったのに、こちらが受け取れていなかっただけなんですよね。
まとめ・次のアクション
満足度の測定は、サービス改善の前提条件です。測っていない状態では、何を直せばよいかを推測で決めることになります。
押さえるべき要点
第一に、測定点は4つ。入会1ヶ月、入会6ヶ月、成婚時、退会時。これ以上増やす必要はありません。
第二に、設問は5〜7問で固定。NPS1問、満足度3〜4問、自由記述1〜2問。1年は変えない。
第三に、NPSは推移で見る。活動中の会員でプラス20以上が目安だが、母数が小さい相談所は絶対値を追わない。
第四に、退会者には「なぜ」ではなく「いつから迷ったか」を聞く。担当者以外か、記名不要フォームで。
第五に、月1回30分、改善を1つだけ決める。そして改善したことを会員に伝える。
第六に、掲載は別の同意。集めた同意と使う同意を混同しない。
今週できること
・6問のアンケートフォームを作る(Googleフォームで15分あれば作れます)
・次回の面談から、最後の5分で回答してもらう運用を始める
・直近1年の退会者リストを見て、「一身上の都合」の割合を数える
・毎月第1週に30分、回答を読む時間をカレンダーに入れる
特別なツールも予算も不要です。必要なのは、聞くと決めることだけです。
婚姻件数の減少が続くなかで(厚生労働省 人口動態統計)、新規会員の獲得単価は年々上がっています。入会してくれた会員に長く活動してもらうことの経済的価値は、以前より確実に高くなっています。結婚意欲そのものは依然として高い水準にあることが 国立社会保障・人口問題研究所 の調査からも読み取れます。届いた人の満足度を測り、直し続けることが、最も確実な経営改善になります。
アンケートというと大掛かりに聞こえますが、実態は「面談の最後に6問答えてもらう」だけです。始めるハードルは驚くほど低くて、やらない理由のほとんどは、単に思いつかなかったというだけだったりします。
NAMI-RENSAの結婚相談所マーケティング支援について
満足度を測って改善するループが回り始めると、次に効いてくるのは「その良さが外に伝わっているか」です。中で起きている改善は、放っておいても外からは見えません。
NAMI-RENSAの結婚相談所マーケティング支援では、SEOコンテンツ制作・MEO(Googleビジネスプロフィール運用)・SNS運用・AIO/LLMO対策・LP制作・Google広告運用・Googleクチコミ獲得支援を提供しています。高いスコアをつけてくれた会員の声を、法令に沿った形でクチコミとコンテンツに展開し、検索とAI検索から継続的に問い合わせが入る状態を作ります。
さらにAI面談分析では、面談の録音をAIで解析し、会員が言葉にしていない不安や、繰り返し出てくる要望のパターンを可視化します。アンケートで拾える情報は本人が言語化できたものだけですが、面談の会話にはその手前の情報が含まれています。アンケートと面談分析を組み合わせることで、満足度の変化を早い段階で捉えられるようになります。
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よくある質問
Q. 結婚相談所の会員アンケートは、どのタイミングで何問くらい聞くのが適切ですか?
A. 測定点は4つに絞るのが実務的です。入会1ヶ月後(立ち上がりの手応え)、入会6ヶ月後(サービスへの評価が固まる時期)、成婚退会時、そして途中退会時です。設問数は各回5〜7問が上限で、これを超えると回答率が目に見えて落ちます。実務での回答率の目安は、面談の場で回答してもらう形式なら80〜95%、メールやLINEで送って自己回答してもらう形式なら25〜45%です。内訳としては、10段階の推奨度スコア1問、満足度スコア3〜4問、自由記述1〜2問という構成が扱いやすくなります。自由記述は必ず入れてください。スコアだけでは何を直せばよいかがわからず、改善に結びつかないためです。逆に自由記述を3問以上入れると、記入負担が急に重くなって未回答が増えます。設問は一度決めたら変えないことも重要で、設問を変えると過去のスコアと比較できなくなります。
Q. NPS(ネットプロモータースコア)はどう計算し、結婚相談所ではどのくらいが目安ですか?
A. 「この相談所を親しい友人や同僚に勧める可能性はどのくらいですか」という質問に0〜10の11段階で答えてもらい、9〜10を推奨者、7〜8を中立者、0〜6を批判者と分類します。NPSは推奨者の割合から批判者の割合を引いた値で、マイナス100からプラス100の範囲を取ります。結婚相談所では、活動中の会員に聞いた場合でプラス10〜30、成婚退会者に聞いた場合でプラス40〜70というレンジに収まることが多く、活動中の会員でプラス20以上あれば健全な水準と考えてよいでしょう。ただし絶対値そのものより、自社の推移を追うことのほうが実用的です。母数が小さい相談所では、1人の回答でスコアが数ポイント動くため、月次で一喜一憂しても意味がありません。四半期単位で見る、あるいは在籍会員が30名未満なら半年単位で見るのが現実的です。婚活という性質上、活動がうまくいっていない時期の会員は低いスコアをつけがちで、これはサービス品質だけを反映した数字ではない点にも注意が必要です。
Q. 退会者アンケート(エグジットサーベイ)で本音を引き出すには、どう聞けばよいですか?
A. 「なぜ退会されるのですか」と直接聞くと、ほとんどの人が「都合により」「他に集中したいので」といった当たり障りのない回答をします。本音を引き出す聞き方は3つあります。第一に、時点を聞くこと。「いつ頃から迷い始めましたか」と尋ねると、具体的な出来事が出てきます。第二に、比較で聞くこと。「もし1つだけ変えられるとしたら、何を変えてほしかったですか」という形にすると、批判ではなく要望として答えやすくなります。第三に、担当者以外が聞くことです。担当カウンセラーが直接聞くと、相手は気を遣って本音を言いません。可能であれば別のスタッフが聞く、それが難しい一人経営なら記名不要のフォームで回答してもらう形にします。また、退会手続きが完了してから1〜2週間後に送るほうが、手続き当日より率直な回答が返ってきます。手続き中は気まずさが先に立つためです。回答率は15〜30%程度が現実的で、それでも十分に価値のある情報が集まります。
Q. アンケートの結果を「お客様の声」として掲載するとき、何に気をつけるべきですか?
A. 掲載には必ず本人の個別同意が必要です。アンケート回答時の一括同意ではなく、掲載する文面と掲載媒体を示したうえで、あらためて同意を取ってください。確認すべきは、掲載する媒体(自社サイト・SNS・チラシ・広告)、掲載期間、氏名やイニシャルの表示方法、年齢や職業といった属性をどこまで出すか、そして退会後や気が変わったときの削除依頼の方法です。あわせて、表現の作り方にも制約があります。特定の成果を強調して「必ず成婚できる」といった印象を与える表現や、実際とは異なる体験談は景品表示法上の問題になり得ます。また、掲載にあたって謝礼や割引を提供する場合は、ステルスマーケティング規制の観点から、対価があったことを明示する必要が生じるケースがあります。集めることと使うことは別の手続きだと考え、収集時の同意で使用まで済ませたことにしないのが安全です。
Q. 在籍会員が少ない相談所でも、アンケートやNPSを測る意味はありますか?
A. あります。ただし目的を変えてください。在籍20〜40名の相談所では、統計的な精度を求める意味はほとんどなく、NPSの数値そのものは参考程度にしかなりません。それでも測る価値があるのは、第一に個別の危険信号を早期に拾えるからです。回答者が少ないからこそ、低いスコアをつけた会員が誰かを特定でき、その週のうちに面談を設定できます。これは大手にはできない小規模ならではの強みです。第二に、自由記述の質が高いからです。母数が少ない分、一つひとつの記述に具体的な状況が書かれており、そのまま改善項目になります。第三に、聞くという行為自体が満足度を上げます。意見を求められた会員は、相談所が自分に関心を持っていると受け取ります。実務上は、スコアの平均を追うのではなく、低いスコアと自由記述の中身に個別対応する運用が、小規模相談所にとって最も費用対効果の高いやり方です。
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