公開:2026-03-08
更新:2026-08-27
結婚相談所の市場規模【2026年版】700億円・5年で20%成長を統計で読む
結婚相談所の市場規模は約700億円で5年間およそ20%成長。一方で婚姻件数は年約47万組まで縮小しています。3大連盟の勢力図、成婚率データの落とし穴、需給のねじれの読み方までを公的統計で整理します。
結婚相談所業界のマーケティング支援を専門とし、複数の結婚相談所との面談・取材を通じて業界の実態を調査。業界の構造的問題を中立的な立場から解説する「結婚相談所の教科書」を運営。成婚率の定義の不統一や料金体系の不透明さなど、業界の「言いにくいこと」を正直に発信している。
運営者情報を見る →- ✓結婚相手紹介サービス業の市場規模は近年約700億円規模で、5年間でおよそ20%拡大している
- ✓IBJ約9.5万人・コネクトシップ約7.3万人・BIU約6.6万人が3大連盟として市場の大部分を占める
- ✓「成婚率○%」は各社で計算式が異なり、分母を確認しないと単純比較できない
- ✓生涯未婚率の上昇(男性28.3%・女性17.8%)が需要拡大の構造的な背景になっている
- ✓2026年はAI価値観マッチング・オンライン入会・独身証明書のコンビニ交付が普及の追い風になっている
結論:市場規模は約700億円、5年で20%拡大
まず結論からお伝えします。結婚相手紹介サービス業の市場規模は、近年およそ700億円規模で推移しています。経済産業省の特定サービス産業動態統計をもとにすると、2019年の約580億円から約5年間でおよそ20%の成長です。
この拡大を支えているのは、単なる一時的なブームではありません。背景には婚姻率の長期的な低下と、それでも「結婚したい」という個人の希望が根強く残っているという、いわば需要と供給のねじれがあります。国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)の出生動向基本調査でも、未婚者の多くが「いずれ結婚するつもり」と回答し続けています。
成長を牽引しているのは「オンライン完結型」の結婚相談所です。エン婚活エージェントやスマリッジなどの低価格オンライン型は、入会金1万円前後・月会費1万円前後という価格帯で、従来「結婚相談所は高い」と敬遠していた20代・30代前半を取り込んでいます。一方、成婚料モデルの対面式も35歳以上の本気度の高い層に支持され、市場は二層構造で厚みを増しています。
「市場が伸びている=簡単に結婚できる」ではありません。伸びているのは選択肢の数であって、成婚のしやすさそのものではない。ここを混同しないことが、データを読む第一歩です。
なぜ拡大するのか——公的データが示す構造要因
市場拡大の根っこにあるのは、生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合)の上昇です。生涯未婚率の最新データでは、男性が約28.3%、女性が約17.8%にまで達しています。おおよそ男性の3.5人に1人、女性の5.6人に1人が50歳時点で未婚という計算です。
厚生労働省の人口動態統計を見ると、年間の婚姻件数は近年約47万組まで減少し、ピーク時(年間100万組超)の半分以下です。同時に総務省統計局の国勢調査では平均初婚年齢が上昇し、男性約31.1歳・女性約29.7歳と晩婚化が定着しました。
つまり「出会いが自然に生まれにくくなった」「動き出す年齢が遅くなった」という2つの変化が重なり、出会いを意図的に設計するサービスへの需要が押し上げられているのです。職場結婚や友人紹介という従来の出会いルートが細るほど、マッチングアプリや結婚相談所といった有料の出会いサービスの存在感が増しています。
実際、都内で相談所を運営する仲人からは「40代前半の男性会員が、5年前とは比べものにならないほど増えた」という声も聞かれます。晩婚化が需要層そのものを押し上げている一例と言えます。
生涯未婚率は「結婚しない人が増えた」だけでなく「結婚したくてもできなかった人」も含む数字です。だからこそ、出会いを設計するサービスに追い風が吹いています。
市場規模の数字はどこで確認できるか——一次統計の3ステップ
「約700億円」という数字を鵜呑みにせず、自分で一次統計にあたる手順を知っておくと、広告の誇張に振り回されにくくなります。手順は3つです。
ステップ1:市場規模は経済産業省の統計で確認する
経済産業省が公表する特定サービス産業動態統計には「結婚相手紹介サービス業」の項目があり、売上高・契約件数・従業者数を月次で追えます。12ヶ月分を合算すると、記事や広告で見かける「約700億円」という規模感の出どころが確認できます。
ステップ2:婚姻の実数は厚生労働省の人口動態統計で確認する
人口動態統計(確定数)の概況には婚姻件数・婚姻率・平均初婚年齢が掲載されています。半世紀単位の推移を見たいときは人口動態統計年報の主要統計表が便利です。
ステップ3:各社の会員数は「いつ時点の数字か」を必ず見る
連盟の会員数は公式サイトで公表されていますが、更新日が1年以上前のままというケースも珍しくありません。比較するなら同じ時点の数字を並べること。これだけで、見かけの差の多くは消えます。
この3つの数字がそろって初めて、「市場は伸びているのに婚姻の実数は減っている」という構造が見えてきます。
統計は難しそうに見えますが、確認するのは「いつの・どこの・何の数字か」の3点だけです。ここを押さえておくと、比較サイトの言い切りにも冷静でいられます。
IBJ・コネクトシップ・BIU——3大連盟の勢力図
2026年時点の主要連盟の会員数は、IBJ(日本結婚相談所連盟)が約9.5万人、コネクトシップが約7.3万人、BIU(日本ブライダル連盟)が約6.6万人。この3つで婚活市場の大部分をカバーしています。
IBJは加盟店数約4,300社で圧倒的なシェアを持ち、自社開発のマッチングシステムとAIを活用したお相手提案機能が強みです。近年はプロフィール条件だけでなく趣味や生活スタイルの相性も考慮する「価値観マッチング」を導入しています。
コネクトシップはパートナーエージェントが運営するプラットフォームで、エン婚活エージェント、スマリッジなどが参画し「低コスト×高品質」路線で会員を増やしています。BIUは主に地方の個人経営相談所が多く加盟し、ベテラン仲人による手作りのお見合いが特徴です。デジタル化は遅れ気味ですが「人の温かみ」を求める会員から根強い支持を得ています。
| 連盟 | 会員数(概算) | 加盟店数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| IBJ | 約9.5万人 | 約4,300社 | 最大手、AIマッチング対応 |
| コネクトシップ | 約7.3万人 | — | 低コスト路線、エン婚活等が利用 |
| BIU | 約6.6万人 | — | 地方・個人経営中心 |
| TMS | 約4.5万人 | — | 仲人型に強み |
| NNR | 約4.1万人 | — | 地方密着型 |
複数の連盟に加盟している相談所もあります。出会いの母数を増やしたいなら、2つ以上の連盟に加盟している店舗を検討しましょう。会員数の合計だけで優劣を決めないことも大切です。
成婚率データの読み方——数字のトリックに注意
結婚相談所の広告でよく見る「成婚率○○%」。この数字は各社で計算方法がばらばらなため、単純比較はできません。
最も一般的な計算式は「成婚退会者数÷全退会者数」。つまり「辞めた人のうち何割が成婚して辞めたか」です。しかし中には「成婚退会者数÷全会員数」で計算している社もあり、当然こちらの方が数字は低くなります。同じ相談所でも、分母を変えるだけで3〜6倍も見え方が変わることがあります。
さらに「成婚」の定義も異なります。IBJ系では「プロポーズ成功」を成婚とする一方、一部のデータマッチング型では「真剣交際に入った時点」で成婚としてカウントするため、後者の方が数字は高く出ます。
比較的信頼できる目安は「活動1年以内の成婚退会率」です。入会から1年以内に成婚退会できた割合が30%以上なら優秀と言えます。数字を見たら必ず「どの計算式で出した数字ですか」「分母は何ですか」と確認しましょう。入会者が実際に成婚する確率も併せて見ると、期待値の調整に役立ちます。
数字そのものより「その数字をどう作ったか」を聞くのが実務です。答えを濁す相談所より、計算式を即答できる相談所のほうが信頼できます。
会員の年齢・年収分布——ボリュームゾーンはどこか
IBJの公開データによると、男性会員のボリュームゾーンは「35〜44歳・年収500〜700万円」、女性会員は「30〜39歳」です。
男性の年収分布を見ると、年収500万円以上が全体の約65%を占め、年収400万円未満は約15%にとどまります。結婚相談所は「年収証明書」の提出が必須のため、この数字は信頼度が高いのが特徴です。自己申告が中心のマッチングアプリとは、この点で情報の確度が大きく異なります。
女性の職業分布では、会社員が約60%、公務員・教職が約10%、医療系が約10%。近年は共働き前提のカップルが主流になっています。年齢層で見ると、20代後半〜30代前半の若い会員が徐々に増加する一方、45歳以上の会員比率も増加しており、再婚活動や中高年の婚活ニーズも確実に拡大しています。
地域別では東京・大阪・名古屋の三大都市圏に会員が集中します。地方は会員数が限られるため、複数連盟加盟の相談所を選ぶか、オンライン型で全国の会員にアクセスできる環境を整えることが重要です。地方と都市部の婚活事情の違いも参考にしてください。
自分の年齢・年収がボリュームゾーンに入っているかは、戦略を左右する最重要ポイントです。中心にいれば数で戦え、外れているならサポートの質で選ぶのが定石です。
2026年の最新動向——AIマッチング・オンライン入会・コンビニ交付
2026年の結婚相談所業界で注目すべき動きは、大きく3つあります。
1つ目はAI価値観マッチングの高度化です。従来の条件検索を超え、行動履歴やプロフィールの記述から「相性」を予測する段階に入りました。ある大手連盟ではAI分析による価値観スコアの導入後、お見合い成立率が従来の約1.8倍に向上したと報告されています。会話履歴の分析を踏まえ、条件は合うのに会話が続かないミスマッチを減らす方向へ進化しています。
2つ目はオンライン入会・オンラインお見合いの定着です。無料カウンセリングから契約までをオンラインで完結できる相談所が増え、地方在住者や多忙な会社員の参入障壁が下がりました。オンライン型と店舗型の比較で見たとおり、年間費用の差は数十万円規模になることもあります。
3つ目は入会手続きの簡便化です。入会に必要な独身証明書は、多くの自治体でマイナンバーカードを使ったコンビニ交付に対応が広がり、平日に役所へ行けない人でも取得しやすくなりました。「証明書取得が面倒で入会を先延ばしにする」というハードルが下がったことは、地味ですが実務上の大きな変化です。
こうした最新動向は、いずれもIPSSが指摘する晩婚化・未婚化という長期トレンドに、業界が「参入しやすさ」で応えようとしている流れとして読み解けます。「価値観重視」「オンライン化」「手続きの簡便化」が2026年のキーワードです。
AIも便利ですが、最後に会って話すのは生身の人間です。ツールの進化に飛びつく前に、自分がどんな人と暮らしたいかを言語化しておくほうが、結果的にマッチングの精度は上がります。
市場は伸びても「会える人数」は増えていない
市場が拡大していると聞くと「出会いやすくなった」と受け取りがちですが、データが示しているのはむしろ逆です。
人口動態統計年報が示す婚姻件数は年間約47万組まで縮小し、ピーク時(年間100万組超)の半分以下。一方で市場規模は5年でおよそ20%拡大しています。サービスは増え、結婚の実数は減っている——このねじれが2026年の婚活市場の実像です。
このねじれは、活動する側にも三つの形で表れます。
- 選択肢は増えた:全国どこからでもオンラインで入会でき、比較対象そのものが増加
- 競争相手も増えた:人気の条件に申し込みが集中しやすく、申込の承諾率は下がる傾向
- 判断の負荷が上がった:情報が多いほど「決められない」状態に陥りやすい
つまり市場の拡大は追い風であると同時に、選ぶ力を求める変化でもあります。会員数の多い連盟に入れば自動的に有利になるわけではなく、申し込みを送る相手の選び方と、返ってきた縁を取りこぼさない運用のほうが結果を左右します。
具体的には、年齢条件の設定幅を見直すだけでも、実際に会える人数は大きく変わります。母数の話と自分が会える人数の話は別物だと押さえておきましょう。
「会員数◯万人」は入り口の数字であって、あなたが実際に会える人数ではありません。ここを分けて考えられるかどうかで、活動の効率はかなり変わります。
まとめ:データが示す「結婚相談所の選び方」
データから見える結婚相談所選びのポイントは明確です。
会員数の多さを求めるならIBJ系。コストパフォーマンスを重視するならコネクトシップ系。手作りのサポートを求めるならBIU系の個人経営という整理ができます。
成婚率は計算方法と分母を確認したうえで参考にし、最も実態に近い「1年以内成婚退会率」を基準に比較しましょう。あわせて、自分の年齢・年収がボリュームゾーンに入っているかも重要な判断材料です。ボリュームゾーンに入っていればマッチングしやすく、外れている場合はより手厚いサポートのある相談所を選ぶのが現実的です。
総務省統計局の国勢調査や厚生労働省の人口動態統計といった公的データが示すとおり、結婚をめぐる環境は確実に変化しています。データを正しく読み、煽り文句に流されないことが、自分に合った一社を見つける最短ルートです。
市場が拡大しているということは、選択肢が増える反面、玉石混交になっているということ。データを読む側にも目利きが求められる時代です。
あなたの次の一歩
市場データを把握したら、次は自分の年齢・年収がどのボリュームゾーンに位置するかを確認しましょう。ボリュームゾーン内なら大手系、外れているならサポート特化型の相談所が有利です。
まず確認したいこと:
- 成婚率の数字のトリックを理解する——市場の広告を冷静に読むために
- オンライン型と店舗型の違いを比較する——3大連盟の使い分けに直結
- 生涯未婚率の最新データで自分の年代の立ち位置を知る
- 婚活費用シミュレーションで年間トータルコストを試算する
2026年は「価値観マッチング」「オンライン入会」「手続きの簡便化」が選定環境のキーワードです。「成婚率○%」だけで判断せず、計算式と分母を必ず確認することが、市場が拡大した今こそ欠かせないリテラシーになります。最新の統計は経済産業省や総務省統計局の公表資料で確認できます。
情報が増えた時代の「次の一歩」は、比較サイトを何往復もすることではありません。自分の立ち位置を1つの数字(年齢・年収・希望条件)で把握し、そこから逆算することです。
よくある質問
結婚相談所の市場規模はどれくらいですか?
経済産業省の特定サービス産業動態統計をもとにすると、結婚相手紹介サービス業の市場規模は近年約700億円規模で推移しています。約5年間でおよそ20%拡大しており、背景には生涯未婚率の上昇や婚姻件数の減少といった構造的な要因があります。
3大連盟とは何ですか?どこが最大手ですか?
IBJ(日本結婚相談所連盟・約9.5万人)、コネクトシップ(約7.3万人)、BIU(日本ブライダル連盟・約6.6万人)の3つを指します。加盟店数・会員数ともにIBJが最大手で、加盟店は約4,300社規模です。出会いの母数を増やしたい場合は複数連盟に加盟する相談所も選択肢になります。
「成婚率○%」はそのまま信じてよいですか?
計算方法が各社でばらばらなため、そのままの比較はおすすめしません。「成婚退会者数÷全退会者数」と「成婚退会者数÷全会員数」では数字が大きく変わります。分母と成婚の定義を確認したうえで、活動1年以内の成婚退会率などを目安にすると実態に近づけます。
40代から結婚相談所に入るのは遅いですか?
2026年は40代以上の会員層が厚くなっており、同年代との出会いは十分に見込めます。ボリュームゾーンから外れる場合は、年代別の対応実績が豊富でサポートが手厚い相談所を選ぶことが現実的な戦略です。
